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第15回 ゆふいん文化・記録映画祭
開催日:2012年6月29日(金)~7月1日(日)
映画上映会場:湯布院公民館大ホール
懇親会会場:乙丸公民館
チケット:
■1プログラム券 (前売)500円
(当日)700円(小・中学生 500円)
■フリーパス券(全上映作品に有効) 3,000円
2012年6月29日(金)
プログラムA
19:00~20:35
作品上映
【時枝俊江監督追悼】
絵図に偲ぶ江戸のくらし -吉左衛門さんと町の人々-
1977年/33分/16mm/製作:岩波映画製作所
企画:文京区教育委員会
監督・脚本:時枝俊江/語り:伊藤惣一
文京区の本郷通りは、昔、将軍の日光御成道と言われた。通りの両側には町家、武家屋敷、神社などいろいろな家並みが連なっていた。安政年間にここに住んだ髪結い「えび床」の主人、伊せや吉左衛門はその通りの家々の様子を詳しく絵図に描き残している。単なる地図ではなく、当時の人々の暮らしの姿や町の様子、風習が生き生きと記録されている。江戸庶民の生き方をユーモラスな語り口で偲ぶ。
ともだち
1961年/61分/16mm(DVD上映)
製作:岩波映画製作所/製作:小口禎三
監督・演出:時枝俊江/脚本:秋浜悟史
撮影:藤瀬季彦/音楽:三木稔
時枝監督が映画作家としてのライフワークにもなった幼児教育映画のジャンルを開拓した初期の作品。隠しカメラを使って4歳児の幼稚園入園から夏休みまでを生き生きと記録した。
「子どもの日常を記録したり、つぶやきを聞いているうちに、私たちはどんどん子どもに魅せられていった。同じように見えた子どもたちの一人ずつが何と個性的なのだろう。子どもは単純と思っていたが、複雑な感情で、こまやかな努力をしていることに心が動かされた。」(時枝俊江)
2012年6月30日(土)
プログラムB
10:00~11:20
作品上映
11:20~11:50
ゲストトーク
【松川八洲雄監督作品】
JAPAN
1973年/80分/16mm/製作:放送番組センター
監督・脚本:松川八洲雄/音楽:間宮芳生
朗読:佐野浅夫・加藤道子
松川八洲雄本人が宮本常一と逢って日本常民の系譜を語る言葉に啓発されて企画を思いついたという、意欲的な作品。「火・水・土・人」の4つをテーマに、日本と日本人の姿を叙情的に描く。農山村民の文化と歴史、四季、商業と工業の発展、都市と農村…、ユーモアと風刺とセンスあふれる松川節にかかると、かくも違った日本の姿が見えて来る。放送番組センターのコンクールで百余りの応募の中で一席をとった企画。数ある松川作品の中でも上映機会の少ない貴重なフィルム。
ゲストトーク:まつかわゆま さん(シネマアナリスト)
プログラムC
12:30~14:15
作品上映
14:20~15:00
表彰・受賞者トーク
【第5回 松川賞】受賞作品 (2作品)
アナ・ボトル -西ティモールの町と村で生きる-
2012年/43分/DVD
ディレクター・制作・撮影・編集:森田良成
インドネシアの西ティモールにある町クパンには、30万人の人々が暮らしている。西ティモールの人口の半数を占める民族アトニ・メトは、その多くが町の東に広がる丘陵地帯に点在する、開発の遅れた農村で暮らしている。彼らはオランダ植民地時代に教育の機会に恵まれなかったこともあり、町に出稼ぎに来ても賃金の低い単純な肉体労働につく事が多い。
クパンには「アナ・ボトル」(空き瓶の子)と呼ばれる男たちがいる。彼らはみな同じ村から出稼ぎに来て、みなで一緒に暮らしている。毎朝、彼らは荷車を押して町のあちこちに散って行き、町を一日歩き回って空き瓶や鉄くず、段ボールといった廃品を集めて来る。それらを換金してお金を得ているのだ。
彼らはこうして稼いだお金をせっせと村に持ち帰る。しばらくして町に戻って来た彼らは、お金をすでに使ってしまっていて、また荷車を押して廃品を集める生活に戻る。 こうした村と町を行き来する暮らしを既に30年近く続けている者もいる。彼らは町での重労働でようやく稼いだお金を、いったい何に使っているのか?彼らのお金の稼ぎ方・使い方から、物がもちうる価値と、「貧しさ」の理解を考える。
飯館村 -故郷を追われる村人たち-
2012年/59分/DVD
監督・撮影・編集・製作:土井敏邦
福島県飯館村。阿武隈山地に位置する標高220~600mの高冷地で6200人が暮らす純農山地。トルコキキョウやタバコの生産をはじめ、酪農・畜産業が盛んで、黒毛和牛「飯館牛」はブランド化されている。村の自然の美しさは広く知られ2010年10月に「日本でもっとも美しい村」連合に加盟した。村の人達の仲の良さ、地域のコミュニティーの強さは村人達の誇りでもあった。
この美しい村に、2011年3月の福島第一原発の事故によって原発から30キロ以上離れているにも関らず、風向きや降雪降雨の影響で大量の放射能が村に降り注いだ。事故から一ヶ月以上が経って日本政府は4月22日、村を「計画的避難区域」に指定し、5月末までの全村民の避難を指示した。
映画は、飯館村の酪農家達が、生業の源であり、“家族の一員”だった牛を手放し、避難のために家と祖先が眠る墓を残したまま村を離れ、その家族が離散していく過程を四月下旬から数ヶ月にわたって描く。避難を迫られる中、村人たちは故郷の意味を自問し、愛郷の想いを切々と語る。放射能に汚染された村で、住民、とりわけ若い親たちは子どもの被爆を畏れ、一刻も早い避難を訴えた。一方、村の為政者たちは“村”という共同体を残そうと必死に奔走する。その両者の思いの深い乖離と軋轢が“人にとって故郷とは何か”を私たちに改めて問いかけ、“離散”を強いられる村人の姿は“家族の意味”“家族と故郷の優先順位の決断”という重い課題を突きつける。
「第5回 松川賞」シンポジウム
プログラムD
15:00~16:30
作品上映
16:40~17:20
ゲストトーク
海 壁
1959年/59分/35mm(16mm上映)
製作:岩波映画製作所/企画:東京電力/製作:小口禎三
監督・脚本・編集:黒木和雄/脚本:桑野茂
撮影:加藤和三、館石昭(水中)/ナレーション:長門裕之
高度経済成長時代を迎える直前、関東地方一円の増大する電力消費を賄うために建設された、東京電力の横須賀火力発電所の建設記録映画。建設の基礎となる海中での基礎工事の苦闘から最後は護岸工事までを描く。水中撮影や空撮、線画までを大胆に使った迫力の映像で、高度経済成長時代を迎える日本が、科学と技術の粋を集めて成長・開発・発展に突き進んで行った時代をダイナミックに描き出す。
岩礁に築く発電所 -伊方原子力発電所建設記録-
1975年/30分/16mm/製作:シネ・ト゛キュメント
企画:四国電力/監督・脚本・編集:樋口源一郎
撮影:奥村祐治・二瓶直衛ほか/音楽:小杉太一郎 語り:和田篤
大分県由布院からは海を隔ててわずか90km圏内にある愛媛県伊方原発が建設された当時の工事記録映画。1970年岩盤など自然環境の調査開始、1972年に起工式、1977年4月完成をめざして進められた工事の模様を、原子炉格納容器組み立ての段階まで、「技術」の面から追う。波を鎮め、切り立つ岩礁を削り、海を埋め立て、美しい四国の海に、巨大な原発施設を造っていった工事の様子を記録する。のちに科学記録映画の巨匠として、その分野の世界を確立した樋口源一郎監督作品。
ゲストトーク:池内 了 先生(宇宙物理学者)
プログラムE
18:10~19:10
作品上映
19:10~20:10
ゲストトーク
続・原発に映る民主主義 ~そして民意は示された~
1996年/59分/DVD/製作:新潟放送/ディレクター:宮島敏郎
原発の是非をめぐって、町民自身の手による住民投票を行った新潟県巻町の町民の住民投票から町議選までの一連の動きを追ったドキュメンタリー。町の将来を左右する問題について、自らの意思を表したいと住民投票条例の制定を求める住民と、町民から選挙で選ばれた議会が示す判断と…。 直接民主主義と間接民主主義の関係、民意とは何か。全国初の住民投票で原発計画を白紙撤回させた巻町の内紛を追いかけた。
ゲストトーク:山口 二郎 先生(政治学者)
20:10~ 花の盛の懇親会
2012年7月1日(日)
プログラムF
10:00~11:00
作品上映
11:00~11:40
ゲストトーク
大いなる海のフロンティア ~しんかい6500~
1990年/26分/DVD/製作:三菱重工業
「しんかい6500」は独立行政法人海洋研究開発機構が所有する大深度有人潜水調査船。現在運航中の有人潜水調査船中、世界で一番深く潜ることができる。 1989年、三菱重工業神戸造船所において進水式が行われ、同年試運転で潜航深度6,527mを記録した。1990年に完成、翌年より調査潜航を開始、日本近海だけでなく太平洋、大西洋、インド洋等で海底地形、深海生物などの調査を行っており、2007年には通算1000回目の潜航を達成した。映画はこの調査船の完成までを記録、世界一を誇る日本の潜水船造船技術の高さと技術者の苦労を描く。
有人潜水調査船 しんかいの系譜
2011年/28分/DVD/製作:(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)
監督・脚本:五味和宣
初潜航から20年が経過した「しんかい6500」。現在も世界一の潜航深度を誇り、無事故で深海調査を続けている。しかし一方で、建造当時を知る技術者たちが定年を迎えて現場を去り始め、また無人調査船の開発も進み、有人潜水調査船を一から設計・建造する技術が次世代に伝承されないまま失われようとしている。有人潜水調査船にこだわる技術者やパイロットたちの想い、日本の潜水調査の行方をめぐる動きをプロジェクトXばりに描いた。
ゲストトーク:櫻井 利明さん(JAMSTEC「しんかい6500」運航チーム司令)
プログラムG
12:20~12:25
監督舞台挨拶
12:25~13:50
作品上映
13:50~14:50
ゲストトーク
大丈夫。 -小児科医・細谷亮太のコトバ-
2011年/85分/DVD/製作:いせFILM、スマートムンストン関連映画製作委員会
監督・演出:伊勢真一/出演:細谷亮太
40年来、小児がん治療の最前線で子どもたちの“いのち”と向き合い続けてきた、小児科医・細谷亮太。小児がん医療の最前線に関わりながら、患者たちを自然に触れさせることを目的に、キャンプ活動や啓蒙活動にも積極的に取り組んでいる。日頃は聖路加国際病院の副院長として最先端の医療現場に身を置きながら、週末には山形県河北町の実家「細谷医院」で、引退した父に代わり田舎の町医者になって故郷の子供たちの健康を見守っている。小児がんの子ども達をサポートする前線で自分自身にも語りかけるように、「大丈夫。」とつぶやく命への柔らかくも強い眼差し。 俳人・細谷喨々としても活動する細谷氏が詠む「いのち」を見つめたコトバと姿を追った感動のドキュメンタリー。
ゲストトーク:細谷 亮太 先生(小児科医)
プログラムH
H-1:
15:05~15:35
作品上映
15:35~16:25
ゲストトーク
H-2:
16:40~18:10
作品上映
ヒマラヤを越える子供たち
2000年/29分/DVD/ドイツ
監督・脚本・音声:Maria Blumencron
日本語版制作:チベットサポートグループKIKU
1950年代に始まった中国によるチベット侵攻。1959年にインドへ亡命した ダライ・ラマ法王の後を追って、13万人以上の難民がチベットから脱出してきた。現在もなお毎年数百人の子ども達が親元を離れ、6,000m級のヒマラヤ山脈を数週間かけて徒歩で越え、インドへ亡命している。中には寒さと疲労のため途中で命を落とす子どもも少なくない。彼らは何故、命をかけてまで国境を越えるのか。カメラは雪のヒマラヤを越える5人の子どもを含む実際の亡命者に同行しその様子を追った。あまりにも過酷なチベット難民の現実をとらえた貴重な映像。
ゲストトーク:久保 隆さん(チベットサポートグループKIKU)
Tibet Tibet
2008年/85分/DVD/製作:RAGOS
監督・撮影:キム・スンヨン(金昇龍)
音楽:大久保智之
在日韓国人3世の旅人、金森太郎こと金昇龍(キム・スンヨン)はビデオカメラを持ち、1997年行く先を決めないままの世界旅行へ出発した。最初に訪れた韓国を自分の足で歩くうち、押し付けられた民族教育のため大嫌いになっていた祖国を次第に好きになってゆく。そして民族や国についての新たな思いが湧きあがり、その後アジアの旅を続け、中国チベット自治区を旅し、チベットとチベット人の今の姿、失われつつある自然や文化の美しさをカメラに収める。在日韓国人と同じ、自らが望まない「移民」である人々との出会いから受けた強い衝撃、旅人の素朴な視点でチベットとチベット人の「現在」と「過去」そして「明日」を見つめながら、民族とは何か、故国とは何か…深い問いかけを投げかける力作。
プログラムI
19:00~20:10
作品上映
洪水をなだめた人びと -治水と水防にみる先人の知恵-
1997年/30分/16mm/製作:(株)文化工房/監督・脚本:田部純正
プロデューサー:桂俊太郎/監修:宮村忠
平野が少なく国土の多くを山が占める日本。そこを流れる川は、ひとたび台風や集中豪雨が襲うと大洪水を起こす。巨大な自然の力に対して、昔の人びとは洪水に真っ正面から対抗するのではなく、水の流れをそらし、その勢いを弱め、「洪水をなだめる」という知恵による治水と水防の工法を生み出して来た。日本各地に残っている河川堤防や堤のわかりやすい解説から、人と水との調和の歴史を描く。
石を架ける -石橋文化を築いた人びと-
1996年/40分/16mm/製作:(株)文化工房/監督・脚本:田部純正
プロデューサー:桂俊太郎/撮影:高橋愼一
日本の代表的な石橋を架けたのは肥後 の石工、中でも江戸末期、種山村(熊本県八代市)に生まれた「種山石工」の人たちであった。彼らの石橋は堅牢無比と表され、その技術、巧まざる造形の美、環境と調和した素材、歴史性は、いずれも高い価値を持つ文化財である。映画は今も九州を中心に残る数々の石橋を訪ね、その歴史や石橋誕生のエピソード、石工達の技とその謎、完成された構造美を描いた。古のロマン溢れる美しい石橋に昔の人びとの想いを見る。
ゲスト
・池内 了さん(宇宙物理学者)
・山口 二郎さん(政治学者)
・まつかわゆま さん(シネマアナリスト)
・櫻井 利明さん(JAMSTEC「しんかい6500」司令)
・伊勢 真一さん(「大丈夫。」監督)
・細谷 亮太さん(小児科医/「大丈夫。」出演)
・久保 隆さん(チベットサポートグループKIKU)
・野村 正昭さん(映画評論家)
・清水 浩之さん(映画祭コーディネーター)
・藤田 修平さん(慶應義塾大学 准教授/「第1回松川賞」受賞者)
・山内 隆治さん(資料映像バンク)
ほか。
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