プログラムC
12:30~14:15
作品上映
14:20~15:00
表彰・受賞者トーク
【第5回 松川賞】受賞作品 (2作品)
2012年/43分/DVD
ディレクター・制作・撮影・編集:森田良成
インドネシアの西ティモールにある町クパンには、30万人の人々が暮らしている。西ティモールの人口の半数を占める民族アトニ・メトは、その多くが町の東に広がる丘陵地帯に点在する、開発の遅れた農村で暮らしている。彼らはオランダ植民地時代に教育の機会に恵まれなかったこともあり、町に出稼ぎに来ても賃金の低い単純な肉体労働につく事が多い。
クパンには「アナ・ボトル」(空き瓶の子)と呼ばれる男たちがいる。彼らはみな同じ村から出稼ぎに来て、みなで一緒に暮らしている。毎朝、彼らは荷車を押して町のあちこちに散って行き、町を一日歩き回って空き瓶や鉄くず、段ボールといった廃品を集めて来る。それらを換金してお金を得ているのだ。
彼らはこうして稼いだお金をせっせと村に持ち帰る。しばらくして町に戻って来た彼らは、お金をすでに使ってしまっていて、また荷車を押して廃品を集める生活に戻る。 こうした村と町を行き来する暮らしを既に30年近く続けている者もいる。彼らは町での重労働でようやく稼いだお金を、いったい何に使っているのか?彼らのお金の稼ぎ方・使い方から、物がもちうる価値と、「貧しさ」の理解を考える。
2012年/59分/DVD
監督・撮影・編集・製作:土井敏邦
福島県飯館村。阿武隈山地に位置する標高220~600mの高冷地で6200人が暮らす純農山地。トルコキキョウやタバコの生産をはじめ、酪農・畜産業が盛んで、黒毛和牛「飯館牛」はブランド化されている。村の自然の美しさは広く知られ2010年10月に「日本でもっとも美しい村」連合に加盟した。村の人達の仲の良さ、地域のコミュニティーの強さは村人達の誇りでもあった。
この美しい村に、2011年3月の福島第一原発の事故によって原発から30キロ以上離れているにも関らず、風向きや降雪降雨の影響で大量の放射能が村に降り注いだ。事故から一ヶ月以上が経って日本政府は4月22日、村を「計画的避難区域」に指定し、5月末までの全村民の避難を指示した。
映画は、飯館村の酪農家達が、生業の源であり、“家族の一員”だった牛を手放し、避難のために家と祖先が眠る墓を残したまま村を離れ、その家族が離散していく過程を四月下旬から数ヶ月にわたって描く。避難を迫られる中、村人たちは故郷の意味を自問し、愛郷の想いを切々と語る。放射能に汚染された村で、住民、とりわけ若い親たちは子どもの被爆を畏れ、一刻も早い避難を訴えた。一方、村の為政者たちは“村”という共同体を残そうと必死に奔走する。その両者の思いの深い乖離と軋轢が“人にとって故郷とは何か”を私たちに改めて問いかけ、“離散”を強いられる村人の姿は“家族の意味”“家族と故郷の優先順位の決断”という重い課題を突きつける。
「第5回 松川賞」シンポジウム