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第19回 ゆふいん文化・記録映画祭

開催日:2016年6月24日(金)~6月26日(日)
映画上映会場:湯布院公民館大ホール
懇親会会場:乙丸公民館
チケット:
■1プログラム券  (前売)500円
          (当日)700円(小・中学生 500円)
■フリーパス券(全上映作品に有効) 3,500円

2016年6月24日(金)

プログラムA
19:00~20:10
作品上映

<松川八洲雄監督 没後10年>

ふるさとからくり風土記 ~八女福島の燈籠人形

1987年/31分/35mm(16mm上映)
監督・脚本:松川八洲雄
製作:ポーラ伝統文化振興財団、英映画社
 北九州の八女に18世紀半ば頃から伝わるとされ「からくり燈籠人形」の奉納は、大工棟梁たちの腕の見せ場でもある。
 高さ8m、巾14m、奥行き6mの3層2階建ての屋台は、釘やかすがいを1本も使用していない組立式で、公演期間中のみ建てられる。
 からくり人形の精緻なつくりと複雑な仕掛け、それを操る人々の技によって繰り広げられる舞台と祭りの様相を美しく映し出す。

琵琶湖・長浜 曳山まつり

1985年/32分/35mm(16mm上映)
監督・脚本:松川八洲雄
製作:ポーラ伝統文化振興財団、英映画社
 寒風に舞っていた粉雪が、いつしか春風に乗って桜吹雪に変わるころ、この町・長浜は、賑やかなシャギリの音とともに一挙に活気づく。
 春の饗宴「長浜・曳山まつり」だ。まつりの中心は子ども狂言。
 曳山の舞台で5、6歳から11、12歳までの男の子が、実に可憐で堂々とした役者ぶりを披露する。
 春休みに入って、子ども達に稽古をつける若い衆の親以上の献身さに、子ども役者もよその山組には負けられないと張り切る。
 エネルギーは一気に加熱、そしてまつりを迎える。

2016年6月25日(土)

プログラムB
10:00~11:50
作品上映

<熊本・大分地震 熊本復興応援企画>

石の譜

1977年/48分/熊本放送
出演:常田富士男
構成:藤井昭、撮影:木野真三、技術:山口興聖
 九州は石橋の多いところだが、中でも熊本はその宝庫といわれる。
 しかもその殆どは江戸時代後期に、「種山石工」と呼ばれる石工集団によって作られたものである。
 通潤橋や霊台橋など、彼等が残した作品を素材に、忽然と現れ忽然と消えていった種山石工四代の盛衰を、歴史的エピソードをまじえながら描く。
 今回の地震で被災した通潤橋が豊富な水を吐き出していた勇姿が胸を打つ。

石を積む ~石垣と日本人

2001年/53分/16mm
脚本・監督:田部純正
プロデューサー:桂俊太郎
製作:文化工房
 石垣は城の景観に代表される日本独特の文化。
 その石垣の描き出す美しい稜線は、実は石垣の力学的なメカニズムのなせる技であった。
 そうした城石垣の技術の真骨頂が、熊本城の石垣だった。
 映画は、城石垣や民衆の石垣・棚田垣を日本国中に訪ね、土木の原点ともいうべき「石を積む」という基本行為から、日本における土木の歴史的遺産を掘り起こしてゆく。
 今回の地震で壊滅的な被害を被った熊本城の、在りし日の美しくも勇壮な姿が目に焼き付いてならない。
プログラムC
12:30~14:10
作品上映・ゲストトーク

土くれ

1972年/17分/35mm(16mm上映)
監督:松川八洲雄/撮影:喜屋武隆一郎
音響デザイン:大野松雄/制作:隆映社
 彫刻家・木内克(きのうち よし:1892~1977)の創作過程を記録した文化映画。
 その即興的な手びねりの裸婦像づくりを17分のフィルムに記録。
 ナレーションを用いず、木下忠司の音楽と大野松雄の音響デザインで独創的に構成した異色作。
ゲストトーク:まつかわ ゆま さん (シネマアナリスト)

【第9回 松川賞】受賞作品

2016年/17分/35mm(BD上映)
撮影・監督:佐々木 麻衣子
 紅(べに)は遥かな昔、海を渡ってやってきた花のいろ。
 紅を差した唇はなぜか透明感のある美しさ。
 黄色いベニバナの花に含まれるわずかな紅の色素を、カラムシの繊維に吸い取らせて精製する工程を美しく描くとともに、透明感とは何か、実験を通して紅の特別な美しさの秘密に迫る。
表彰式・受賞者シンポジウム:佐々木 麻衣子 さん
         (第9回「松川賞」受賞者)
プログラムD
14:40~16:20
作品上映
16:20~17:00
ゲストトーク

表現に力ありや ~「水俣」プロデューサー、語る

2016年/100分
プロデューサー:桂俊太郎・村山英世
監督:井上実・片岡希
製作:記録映画保存センター
 『沖縄列島』(東陽一監督、1969年)や「水俣・患者さんとその世界」(土本典昭監督、1971年)などの記録映画のプロデューサー、高木隆太郎(83歳)の生涯をたどる記録映画。
 岩波映画製作所で出会った仲間とともに新しい表現を求めて自主製作・自主上映活動を展開した高木の映画製作手法を、関係者のインタビューと残された当時の作品映像などを織り交ぜながら今に甦らせる。
 「借金で映画を作り、上映で借金を返す」という高木の言葉は記録映画界の名言として語り継がれている。
ゲストトーク:高木 隆太郎 さん
       (記録映画プロデューサー)
プログラムE
17:50~19:10
作品上映
19:10~19:50
ゲストトーク

徘徊 ママリン87歳の夏

2015年/77分
監督・撮影・編集:田中幸夫
出演:酒井アサヨ、酒井章子
製作:風楽創作事務所
 大坂北浜。大都会のド真ん中に、ちょっと訳ありの母娘が住んでいる。
 母は認知症、娘は自宅マンションでギャラリーを営む。
 昼夜の別なく徘徊する母を見守る娘の姿は、近所の誰もが知っている。
 徘徊モードが一息つけば、母娘一緒に居酒屋やバーにも寄る。
 そんな二人の生活は6年になる。
 認知症の母と娘の間で交わされる大阪弁の会話は、まるで抱腹絶倒の漫才。
 認知症、徘徊、親の介護…その重たい現実を、地域で見守るコミュニティの温かさや娘のユーモアでしのぎ、老い、そして人間とは何かを、明るいタッチで問いかける。
ゲストトーク:山内勇人さん(精神科医)、ほか。

20:00~ 花の盛の懇親会

2016年6月26日(日)

プログラムF
10:00~11:10
作品上映
11:10~11:50
ゲストトーク

鬼来迎 ~鬼と仏が生きる里

2013年/38分
監督:村山正実、片岡希、井上実
製作:ポーラ伝統文化振興財団、桜映画社
 千葉県山武郡横芝光町虫生(むしょう)地区には、数世紀にわたり仮面劇・鬼来迎(きらいごう)が伝えられてきた。
 それを支えているのは、わずか25戸の集落の人々である。毎年8月16日施餓鬼会のあとに演じられる「鬼来迎」に向けて大人も子供も、里人たちが心をひとつにしていく様を丹念に記録。
 里人たちの生活と共にある民俗芸能の姿を描きだす。

鬼来迎 1953年記録版

1953年/23分/モノクロ
 同時上映作と同じ仮面劇「鬼来迎」を、1953年に記録した記録映像。
 数世紀にわたって伝えられて来た同じ伝統民俗芸能を、60年前の記録と見比べる。村の様子や、演じる若者や子供達をとりまく環境、見に集まって来る群衆の様子の違いも面白い。
ゲストトーク:井上 実さん(記録映画監督)
プログラムG
12:30~14:10
作品上映・ゲストトーク
【記録映画の保存と活用を考える vol.4】
 いまや紛失消散の危機にある貴重な記録映画の数々…。
 どこで、誰が、どのように管理・保存・活用していくのか。
 映画保存が抱える様々な課題、その解決策について、国立近代フィルムセンターに保存されている貴重で珍しい昔のフィルム映像を見ながら、映画保存の専門家、とちぎあきら(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)さんにお話を聞く。
 好評に応えて、第4弾。

阿蘇山 昭和十年八月二十二日

1935年/撮影:本咲利郎/7分/白黒/サイレント(オリジナル:16mm)
 阿蘇神社を初めとする阿蘇地方を訪れた家族旅行のホームムービー。
 おそらく未編集のフィルムで、こうしたフィルムをアーカイブとして、どのような保存・活用するかが課題。

明治神宮 奉納神事舞

1930年/製作:文部省/21分/白黒/サイレント(オリジナル:35mm)
 鎮座十年を記念した祭典において、佐伯神楽を初め、各地から選ばれた舞が披露されるもの。
 仏教的な民俗儀礼である「鬼来迎」とは、別の角度から、神事における民俗を取り上げる。

聯合 コドモのニュース 第七輯

1939年/製作:聯合映画社/構成:羽中田誠/監修解説:村岡花子
11分/白黒/トーキー(オリジナル:16mm)
 2014年に予定外でお見せした、村岡花子解説によるニュース映画の別集。
 サイレント映画ばかりだとちょっとさびしいので、これはトーキー。
 しかも子供向けに音についてお勉強する文化映画になっている。

隅田川

1931年/製作:文部省/脚本:雨夜全/撮影:藪下泰次、斉藤宗武
21分/白黒/サイレント(オリジナル:35mm)
 震災復興後の東京において、長い間見放されてきた水上生活者の家族や、その児童の教育について、劇映画仕立て風に取り上げた作品。
 都会の底辺に生きる人たちへのまなざしと詩情あふれる映像は、文部省映画のイメージを一変させる逸品。
ゲストトーク:とちぎ あきら さん
       (東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)
プログラムH
14:50~16:30
作品上映

抱擁 Walking with My Mother

2014年/93分
監督・撮影・編集:坂口香津美
製作:スーパーサウルス
 坂口ちすえさん(78歳)は長女を病気で亡くし、夫も入院の後に続けて亡くなったために精神的な混乱に陥り、大量の精神安定剤が手放せない日々を送っていた。
 精神の混乱に陥った母を深く理解するために、息子(監督の坂口香津美)は母にカメラを向ける。その状況を知ったすちえさんの実妹マリ子さんは、変わり果てた姿となった姉を故郷の鹿児島県種子島に連れて帰る。
 太陽と海と緑の島で、姉を立ち直らせるために妹の献身的な介護と苦闘が始まった。
 すちえさんと彼女をめぐる人々の4年間にわたる葛藤の日々と、絶望からの再生をありのままに映し出し、愛する者の喪失や自らの老いという現実に直面した母の生きる姿を、
 息子の視点で静かに見つめる。
プログラムI
17:20~19:00
作品上映
19:00~19:40
ゲストトーク

ヤクザと憲法

2015年/96分/監督:?方宏史
プロデューサー:阿武野勝彦
製作:東海テレビ放送
 暴力団対策法から20年、ヤクザは全国で6万人を割り、この3年で2万人が組織を離脱した。
 ヤクザはいま何を考え、どんな暮らしをしているのか?
 大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」にカメラが入る。
 組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年と実の子のように可愛がるオジキ、そして組員の逮捕、家宅捜索の瞬間がやってくる…。
 銀行口座がつくれず子どもの給食費が引き落とせないと悩むヤクザ。
 自動車保険の交渉がこじれたら詐欺や恐喝で逮捕される。
 しかし、弁護士はほとんどが「ヤクザお断り」…。
 組の会長は「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語りはじめた。
 社会と反社会、権力と暴力、強者と弱者、ヤクザと人権…。
 一体、何が起きているのか?
 強面たちの知られざる日常から、どろりとしたニッポンの淵が見えてくる。
ゲストトーク:山之内 幸夫さん
       (元・山口組顧問弁護士)
ゲスト
・ とちぎあきら さん(東京国立近代美術館フィルムセンター)
・ 高木 隆太郎さん(記録映画プロデューサー)
・ まつかわ ゆま さん(シネマアナリスト)
・ 井上 実さん(記録映画監督)
・ 山之内 幸夫さん(元・山口組顧問弁護士)
・ 野村 正昭さん(映画評論家)
・ 山内 隆治さん(東京大学客員研究員)
・ 大澤 啓さん(東京大学総合研究博物館特任研究員)
・ 森 まゆみさん(作家)
・ 佐々木 麻衣子さん(「第9回松川賞」受賞者)
                         ほか。
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